2016年4月28日木曜日

炭酸製造器キリツボ (基本技術編)

炭酸製造器キリツボが、安価に、安全に、(超)炭酸を作ることができる器具であることを、前ブログで紹介いたしました。




今回は、前回簡単に記した「技術的な事柄」について紹介いたします。

  1. 構成部品と役割
  2. 炭酸製造のための原料
  3. 炭酸製造の手順


技術事項をしっかり理解することは、製造時の「要領の良さ」や「安心」につながります。
(大丈夫!内容は簡単です!ただし、前回のブログは先に見てください。見ていただいたことを前提に、このブログを書いていますので。。。)







キリツボの構成部品と役割



配管(継ぎ手)の組み合わせ




キャップ: ボトルと接続配管を接続する役割をします。プラスチック(ポリアセタール)製。

接続配管: キャップ、ボールバルブ、開放弁、圧力計をつなぐ役割をします。ポリアセタール製。

ボールバルブ: 二酸化炭素や液体の通過もしくは、遮断をします。ポリ塩化ビニルがメインの材質です。

圧力計
器具内部、ペットボトル内部の気圧の強さを、数字で表します。内部の状態がわかれば、炭酸強度の加減をすることができる他、状況を知ることにより「安心」につながります。計測範囲は0MPa~1.0MPaです。(0.1MPaは約1気圧と理解してください。 少し専門的な話になりますが、圧力はゲージ圧で示されます。ゲージ圧0MPa=大気圧の0.1MPa、ゲージ圧0.55MPa = 大気圧0.65MPaです)。 メインの材質はステンレス鋼です

開放弁: 
器具内部の圧力を一定値以下にします。これにより、破裂事故を防ぐことができます。6.5気圧(大気圧)以上になると開放弁が働き始めます。メインの材質はポリアセタールです。

開放弁カバー: 
開放弁作動時に、水浸しになるアクシデントを防ぐことができます。ポリアセタール製。 

炭酸用PETボトル
皆さま御存知のPETボトルです。 製造直後は16気圧の耐圧性がありますが、傷をつけたり、直射日光に長時間晒すと強度が低下します。ポリエチレンテレフタレート(PET)製。使用回数、経年による劣化が報告されています。500回使用または半年の使用毎に新品に取り換えてください。2020/6/23追記。

フィルター
水を通しつつ、粉末であるクエン酸と重曹を留めることができます。このフィルターのおかげで、密閉空間の構築後、好みのタイミングで炭酸ガスを発生させることができます。ポリウレタン製。

支持台:キリツボが転倒しないようにするための台です。高さの調節が可能です。ステンレス製です。








原料(炭酸飲料生成時に消費されるものです)


飲料(最終的にお口に入るものですが、消費原料としてここに載せました)
水、ジュース、コーヒー、お茶、酒、ワイン、牛乳、梅酒等のことです。飲料の種類により、炭酸化作業の難度が異なります。もっとも簡単なものは「水」です。 「牛乳」はとても難しく、上級者向きの飲料です。


重曹
重炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムとも言います。化学式はNaHCO3です。水に溶けると弱アルカリ性になります。KIRITSUBOにおいては、クエン酸と水を混ぜ合わせることにより、「二酸化炭素CO2」および、「クエン酸3ナトリウム」を生成します。このうちCO2は飲料の炭酸化に用いられます。クエン酸3ナトリウムは捨てられます。

クエン酸
化学式はCです。水に溶けると弱酸性になります。KIRITSUBOにおいては、重曹と水を混ぜ合わせることにより、「二酸化炭素CO2」および、「クエン酸3ナトリウム」を生成します。


重曹とクエン酸の化学反応を起こすために用いられます。一般的に、化学反応を促進させたい場合(つまり、炭酸作製速度を速める場合)、水は冷水よりも「温水」が好ましいといえます。






炭酸飲料製造の手順

(通常の強炭酸の作り方を示します。)



1.飲料500mlを冷やします
強炭酸を目指す方は、飲料をしっかり冷やしてください。理想は、「凍らない温度」かつ「低い温度」です。チルドが理想です。
これは、二酸化炭素(気体)は低温液体ほど溶け込みやすいという性質があるためです。また、凍ると二酸化炭素が溶け込まなくなるばかりでなく、容器を破損してしまう恐れがあります。

2.キリツボ一式を用意します。
キリツボ本体、支持台、炭酸用ペットボトル(1000ml用)、フィルター付き炭酸用ペットボトル、クエン酸、重曹、計量カップ、計量スプーン、粉末ロート、を準備します。 2つの開放弁カバーがキリツボにしっかりと取り付けられているか確認します。パッキンがキャップにはめ込まれているか確認します。
実験器具一式



3.二酸化炭素発生のための容器をセットします。
計量カップに150cc175ccの水(ぬるま湯)を注ぎます。フィルター付き炭酸用ペットボトルにロートをセットします。計量カップ内の水(ぬるま湯)をフィルター付き炭酸用ペットボトルに注ぎます。(この時、フィルター濡れた状態)
給湯器を使うと便利


濡れていない他のロートをフィルター付き炭酸用ペットボトルにセットします。重曹を計量スプーン1さじ(30cc)すくい、フィルターに落とします。クエン酸(30cc)を、重曹同様に、フィルターにめがけて落とします。

クエン酸重曹と水をフィルターで分ける
(イラストでは、明瞭さを目指すため、粉末色を緑と紫にしていますが、実物は「白」です。)
この段階で、重曹やクエン酸の粉末はフィルターの上部にあり、水(ぬるま湯*)はフィルターの下部にあり、水と粉末類は接触していません。よって化学反応はまだ起きません。


4.飲料側のボトルをセットします。
炭酸用PETボトル(1000ml)に手順1の飲料500mlを注ぎます。
じょうごを使うと便利

イラストの通り、ボトルの下半分だけ飲料が満たされますが、問題ありません。

5.キリツボで密閉空間を完成させます。
キリツボ本体(圧力計側のキャップ部)に手順4のボトルをしっかり締め取り付けます。
(しっかり締めないと空気漏れが起こる恐れがあります。左手でキリツボを持ち、右手の指をボトルの底の凹凸にはめ、ひねるとしっかり締まります)

また、転倒を防ぐために、支持台を用います。
支持台の代わりにディスプレイスタンドを使うも良し


手順3の重曹クエン酸入りボトルをキリツボに取り付けます。これも、しっかり締め、取り付けます。
ボールバルブ2を「閉」にし、ボールバルブ1を「開」にします。
エスロンのミニボールバルブ

これで、外部から遮断された、密閉空間の出来上がりです。(下の右側のイラストは、キリツボを緑の仮想面で切断した時の断面を示しています。赤で囲われた領域が密閉された空間です。)
密封連結された状態をイメージ




6.二酸化炭素を発生させます。
両手でそれぞれのペットボトルを軽く持ちます。
まずは、フィルター付きの炭酸用ペットボトル(右手側)に意識を集中します。
ペットボトルを掴む

重曹・クエン酸・水を混合させるため、水を粉末に接触させなければなりません。そのため、ボトルを上下に振ります(下の左イラスト)。下の右イラストのようにフィルター下にある水を、フィルター通過させ、粉末まで移動させます。
この時、注意していただきたいのは、右側のボトルにおいて、イラストの印より上に水を移動させないようにすることです。水が×印より上方に移動すると、クエン酸重曹の溶液が飲料に混入し、飲料の味を損ねてしまう恐れがあります。
飲料に溶け込ませるの二酸化炭素のみ!を意識してください


7.KIRITSUBO内部の圧力を上昇させると同時に、飲料にCO2を溶け込ませます。
重曹・クエン酸・水の化学反応によりCO2は生成され、KIRITSUBO内部の圧力は上昇していきます。内部の圧力(内圧)は圧力計により知ることができます。
内圧上昇が始まったら、今度は左右のボトルと圧力計に意識を集中します
単位はMPaメガパスカル。0.1MPaで約1気圧


圧力の上昇を確認したら、左側ボトルを意識しながらボトルを上下に振ります(右手側をほぼ固定し、左手側を大きめに振るのがコツです)。このシャッフルにより、ボトル内部の水が拡散し、二酸化炭素と接触する飲料の面積が増えます。結果、CO2は飲料に溶け込むため(飲料炭酸化のため)、内圧が下がります
ヘンリーの法則(気体が液体へ溶解する現象)を体感しよう。

右側のボトルのシャッフルは内圧上昇(CO2発生促進)、左側のシャッフルは内圧下降(CO2の溶け込み)になるものとご理解ください。
圧力計を見ながら、ゲージ圧0.55MPa0.45MPaゲージ圧)を超えないよう、左右ボトルをシャッフルし調節をします。

(ゲージ圧0.55MPa(ゲージ圧)以上になると、開放弁が働き始めます。開放弁が働くと内部のCO2は外に出ていきますので、結果、原料を無駄にすることになります。超えないようにうまく調節しましょう
破裂防止のため、開放弁(安全弁)が作動する
上の図は、0.55MPa(ゲージ圧)以上になり開放弁が働いている状態です。開放弁が働いた結果、CO2が外部に放出され、ゲージ圧が下がります。


8.お好みのタイミングでバルブの開閉を行い、炭酸飲料を得ます。
目標の圧力値に達したら、バルブ1を「閉」にし、バルブ2を「半開」にします。バルブ2を急全開しないようにしてください。(これは、圧力解放時ペットボトル内の泡が急成長し、吹き出しの恐れがあるためです)。
噴き出さないようにゆっくり弁を開ける

泡が破壊され、消滅するまでゆっくり内圧を下げていきます。
泡が完全になくなったら、右側ペットボトルをキリツボから外します。
そして、キリツボを強く15回程度、強く、振ります。
ペットボトルをシャッフルして完全に炭酸ガスを溶け込ませる


9.炭酸飲料の出来上がり、そのまま飲むか、保存するかはご自由に。
撹拌を終えたら、バルブ1を「開」にし、内圧を大気圧にします。
圧力を完全開放する。このときゲージ圧は0になる

炭酸飲料の入ったペットボトルをキリツボから取り外します。あとは、グラスに注いで飲むか、炭酸用ペットボトル500mlに移し保存します。(炭酸用ペットボトルに保存する場合、満タンになるまで飲料を入れてください。また、ふたはきつく締めましょう。保存温度は0℃に近いほど良いでしょう。そうすることにより、保存中、炭酸の強度が損なわれずに済みます。)

















(*記載情報に間違いがある場合は、コメントを下さい。)



以下のリンクも見てください。よろしくお願いします。

ものすご~く強い炭酸飲料を、しかも、20円以下で作る方法。(炭酸サーバー)

技術編(キリツボの構成部品、炭酸作成手順の詳細)











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